独学のすすめ/加藤秀俊

独学のすすめ (ちくま文庫)

独学のすすめ (ちくま文庫)

 1975年に出版された本ということで、約40年前の本ということに
なります。

 「独学」のススメということでノウハウ本かと思っていたのです
が、読んでみると教育にまつわることを取り扱ったエッセイ集とい
った感じの本でした。

 今ほど自己啓発に関する情報が多くなかったと思われる40年前に
おいては、こういう本ってどうだっだんでしょうね。
 
 でも、ちょっとビックリしたのが、近年の自己啓発本で言われる
ようなことが結構含まれているんですよね。

 要するに、情報は多くなっているけれども、それをちゃんと実践
する人はそんなに多くなっていないということなんでしょうか…

 「教育」と言っても、この本で主に取り扱われるのは、学校教育
ではなく、自己啓発的な自主的に取り組むことが中心で、学校での
教育よりもより根源的で、各個人にとって純粋な取り組みだとおっ
しゃられています。

 あんまり自己啓発的な取り組みが進んではいない、と言いました
が、日本では「お稽古事」という世界にも稀に見る形態の「自己啓
発」があり、こういう伝統をベースに教養が形成されてきた部分も
無視できないようです。