日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか/竹田恒泰

日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか (PHP新書)

日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか (PHP新書)

 最近、メディアにもよく登場されている明治天皇の玄孫・竹田
さんのベストセラーです。

 タイトルを見たときには、“ウヨク”が根拠の薄いことを…と
思っていたのですが、まさか著者が旧皇族だと思わなかったし、
世界で人気があるというのも、BBCの調査に基づいているとい
うことで、「失礼しました!」ということでした。

 「人気がある」というのは、昨今のアニメやポップカルチャー
もさておき、日本的な価値観に支持が集まっているということで、
そういうことろを、「もったいない」「いただきます」「和(な
ごみ)」「匠(たくみ)」「天皇(すめらぎ)」というキーワー
ドを手掛かりに語られます。

 これはよく知られているかもしれませんが、天皇家は世界最古
の王家ということで、かつ国体が2000年以上も継続している例も
無いそうで、これは天皇家のありかたと「和」を重んずる精神
性のなせる技だとおっしゃいます。

 天皇家は、王家として君臨するというよりも、国家の司祭とし
て清廉に「ある」と価値観でなりたっており、世界でも例のない
ほど「質素」な王家であり、それが故に、天皇家に取って変わろ
うとするものがなかったということです。

 そういった天皇家の美意識が影響して日本人の価値観が作り上
げられ、それが世界で支持されているということですが、昨今の
日本人は、その美意識を捨て去りつつあるということで、なんと
か、そういう美質を保っていて欲しいという著者の切なる願いが
綴られます。

 ただ周辺の国に対応するために根拠の薄い「誇り」を身に纏う
のは、断固反対ですが、こういう我々が本来持っている美質を思
い返して、それを身に付け、ひそかに「誇り」を持つことの意義
が強く感じられる素晴らしい本ですね。