わが子に教える作文教室/清水義範

わが子に教える作文教室 (講談社現代新書)

わが子に教える作文教室 (講談社現代新書)

 先日、『大人のための文章教室 (講談社現代新書)』を紹介しましたが、
その中でも触れられていた、「週刊現代」で連載されていた「『作文親父』
星一徹」を一冊にまとめた本です。

 別に「星一徹」だからといって、お父さんだけを対象ににしているわけ
ではなくて、お母さんが「星一徹」になってもいいんだということを冒頭
でおっしゃっておられますが、要は、自分の子供に文章を書くことを教え
るヒントが詰まった本です。

 もちろん、てにをはや句読点のつけ方、接続詞をうまく活用して表現力
を豊かにする方法、比喩の活用など、文章を書く上でのテクニカルな部分
も紹介されていますが、この本の真髄はもうちょっと別のところにあるよ
うです。

 基本的に作文なんて、イヤイヤ書くもんだろうと、我々オトナは考えて
いて、ほとんどの子供もそうなんだと思うんですが、うまくオトナが導い
てあげれば、元々人間に備わっている表現欲というものをくすぐって、
子供たちが嬉々として作文を書くということも可能なようです。

 そのためには、
   ・できないことを指摘するのではなく、できているところをホメる。
・過度に「よい子」を演じなくていいんだ、と諭す
ことが重要だといいます。

 特に後者で、文章的にはよくできた作文であっても、道徳的に問題の
ある内容だったとしたら、オトナとしては、ついついそのことを指摘して
しまいがちですが、それが子供の「やる気」を損なってしまうようです。

 清水さんが看られた生徒さんの中には、何十枚にも及ぶ物語を書くに
至った子もいるようで、そこまでは望まないまでも、コレで子供の表現
力が向上すればいいな、と…