統計学が最強の学問である/西内啓

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

 書店で平積みしているのが気になっていた本を知人が持っていたので、
強奪してきました。

 正直、ポイントになるところに、かなり専門的な知識を要する部分が
あるので、とっつきやすいわけではないのですが、分かり難いながらも、
結構引き込まれて、あっと言う間に読み通しました。

 統計学って言うのは、使う人の意識によって、ある意味どういう風に
でも都合よく使えるもので、その結果が多くの人の生命にまで関わって
来たことをこの本でも紹介していますが、ITの進化により、統計学
かつてない万能性を持つに至って、その「意図」をしっかりと見据える
ことの重要性を強調されています。

 未だに全数検査にこだわる人のことを、この本では一笑に付していま
すが、抽出検査をする際のサンプリングに、「意図」の入り込むスキが
多いのもまた確かなようで、「意図」が無くても妙な「偏り」が入り込
むスキを排除できない部分があることから、統計を取る側としても、ど
ういう目的で行うかをしっかりと明確にしておかないと、結論ありきに
なってしまう、ということです。

 できる限り客観的な数字を得るために行う統計なんですが、そこに
入り込む「意図」をゼロにすることはできないことも確かなようで、
その辺りの折り合いをどうつけるか…という結論があるようでない本
なんですが、統計学のそもそもの姿を知ることができて有意義でした。