専門家はウソをつく/勝間和代

専門家はウソをつく (小学館新書)

専門家はウソをつく (小学館新書)


 以前紹介した『やせる! (光文社新書)』や『「有名人になる」ということ (ディスカヴァー携書)』で、
最近の勝間さんの著作のトーンが、初期の論理で畳み掛ける感じから、
語り口もやわらかくなり、あんまり論理的な叙述に慣れていない人
にも読みやすくなった、的なことを書いたのですが、この本も、そう
いう傾向を踏襲しています。

 ただこの本、いままでの著作と違って、正直、何を言いたいために
書かれたのかよく判りません。

 いままでの本だと、冒頭に目的がバーン!と書かれていて、それに
向かって緻密な構成で、これでもか!というくらい目的に対する位置
づけをされていて、あたかも全体の俯瞰図を見ながら本文を読むよう
な安心感があったのですが、この本は、どっかの大学教授が書きたい
ことをぐだぐだと書き散らした、的な、ある意味、構成を放棄したよ
うな、勝間さんらしくない感じです。

 内容としては、専門家が言ってるからといって鵜呑みにするな、と
いうことで、何故そうなるか、というと多くの専門家が視野狭窄
陥っているか、そうで無いとしても、それをシロウトに語るには、
表現力が不足している、ということで、あるトピックについて、何人
かの専門家の言っていることを並べてみて、比較検討した上で、自分
なりの解釈をすべきだ、ということなんだと思われます。

 敢えて論理を捨てたのか、どういう意図でこのテーマで書こうと
されたのか…あまりにも勝間さんらしくなくて、ちょっと戸惑って、
著作の世界に入り込めていないのも確かなのですが…

 正直、勝間さんのパワーが落ちてきているなあ、と思ってましたが、
ちょっとこれは、決定打かもしれません…