
- 作者: 西部謙司
- 出版社/メーカー: ソル・メディア
- 発売日: 2012/11/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (3件) を見る
西部さんが「カジュアルに戦術を語る」趣旨で『フットボリスタ』に
連載されているものをまとめた本の第2弾です。
連載の時期が、2011年から2012年にかけてということですので、グア
ルディオラ監督のバルセロナの最終年ということになりますが、中心と
して扱われるのが、やっぱりバルセロナの戦術ということになります。
西部さんによるとグアルディオラが提示したバルセロナの戦術と言う
のは、1974年のオランダ代表のトータルフットボール、、1990年代初頭
のACミランのプレッシング以来の、戦術上の「パラダイムシフト」だと
いうことです。
1990年代以降、プレッシングが戦術の大勢を占めていたわけですが、
段々と対策がなされて、プレッシングを無効化する戦術というものが
練り上げてこられたわけですが、グアルディオラのバルセロナの登場
が、その決定的な破壊となったようです。
というのも、シャビやイニエスタといった選手たちは、プレスをかけ
られて、2m以内の距離で相手にマークされていても、パスを出されて、
それを受けることができるスキルを備えるということで、プレス自体を
無意味なものにしてしまうことができるということです。
今シーズン、バルセロナの数年ぶりの無冠の可能性が高くなって、
「サイクルの終焉」が囁かれているのですが、グアルディオラ「革命」
はバイエルンに移っても、新たな形で進行しており、その行き着く先
がどうなってしまうんだろう、ということを考える上でも、バルセロナ
における「実験」を総括する意味で、パッと見の印象よりもマニアック
ではないので、一読されては如何でしょうか?