Jリーグの戦術はガラパゴスか最先端か/西部謙司

Jリーグの戦術はガラパゴスか最先端か

Jリーグの戦術はガラパゴスか最先端か

 サッカーの戦術に関するスペシャリスト・西部さんが語る、Jリーグ
の戦術に関する本です。

 Jリーグは、ヨーロッパのリーグと比較して、チーム間の戦力の差が
小さく、比較的、戦略的な冒険がしやすい環境にあるということなの
ですが、著しく外との交流が少ないということもあって、世界的に見る
とかなり特異な戦術が進化していることがある、ということで、「ガラ
パゴス」と表現されているんでしょうけど、これって、実は世界的に
見てもスゴイ戦術なんじゃない?というところがあるようです。

 初期は、ヨーロッパの洗練された守備戦術を取り入れるところから
始まり、フリューゲルスバルサ戦術の導入や、プレッシングへの取組
といった外から戦術の輸入がメインだったのですが、ペトロビッチ
広島、浦和における3-4-2-1は、監督はヨーロッパから来たものの、その
戦術は相当にユニークなものだということで、篤く紹介されています。

 でも、何といっても極めつけは、2000年代初頭のジュビロが用いた
N-BOXなんじゃないでしょうか?

 クラブ世界選手権で、ジダンフィーゴ擁するレアル・マドリード
と戦うために編み出した戦術だということなのですが、ある意味サイド
を放棄したように映るシステムなんですが、名波選手の卓越した戦術
遂行力をキーとした戦術で、諸刃の剣的な部分はあったにせよ、破壊
的なパワーを秘めた戦術を遂行したというのは、驚愕です。

 是非、N-BOXでレアル・マドリードを向こうに回して戦って欲しか
った…