コミュニケーション力を高める文章の技術/芦永奈雄

 国語専門の塾を主宰し、作文・小論文の指導をされている方の著書です。

 学校や仕事において、文章を書くことがある人は多いと思いますが、今ひとつ
自分の意図が伝わっていないんじゃないか、という不安を持つ人は少なくない
んじゃないかと思います。

 ワタクシも、毎日こんなブログをやっていて、特にいい本を紹介する時に、
こんなんじゃこの本の魅力は伝わらない、と悔しい思いをすることが少なくあり
ません。

 なぜ、自分の「伝えたい」と思うことが伝えられないのか、ということについ
て、まずこの本では、「相手の立場を考える」ということをおっしゃられています。

 これだけじゃ何のことかわからないのですが、自分が伝えたいと思うことについ
て、前提として、まず、その相手は自分が「伝えたい」と思うことについて、全く
興味が無い、ということを念頭に置くことが重要で、「伝えたい」と思ったら、
まずしなければならないことは、相手に興味を持ってもらうことだということです。

 そのためには、まず自分の「気持ち」を書かずに、「事実」を書くんだそうです。

 自分が抱いた「気持ち」じゃなくて、その「気持ち」を持つ元となった「事実」
を書くことで、相手の「気持ち」が起きてくるようにするのが重要なようです。

 また、最初に「結果」を書かないなど、実践的な「読ませるコツ」をわかりやす
く紹介されていますので、ホンのちょっと、この本に書かれていることをアタマに
置いておくだけで、随分と効果があるんじゃないか、という気にさせられる本です。