夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです/村上春樹

 村上春樹さんが、1997年から2011年の時期に自分の作品について
受けたインタビューを集めた本です。

 作品で言うと、『スプートニクの恋人』『アンダーグラウンド
海辺のカフカ』『神の子供たちはみな踊る』『アフターダーク
なんかが取り上げられています。

 ワタクシは、村上さんの作品は、エッセイは好きで結構読むの
ですが、小説は何度かトライしたものの、その世界に入り込めず
に断念しているので、あんまりこの本のよい読者ではなさそうです。

 とはいうものの、村上さんの「ものづくり」の姿勢を垣間見る
ことができて非常に興味深い内容でした。

 作家の方がどのように小説を生み出しているのか、というのは
ひとそれぞれなんでしょうけど、村上さんは、物語が自然発生的
に生まれてくるのを損なわないように寄り添って、見届けるとい
った感じのことを再三おっしゃられています。

 当然、作品にする上で、生まれてきた物語を「加工」はされて
いるようなのですが、大きな流れとしては、そのままのようで、
ちょっと衝撃的でした。

 よく村上さんの作品は、ジャズのアドリブに影響を受けている
と言われているのを聞いて、全然意味がわからなかったのですが、
そういう意味だったのか、とちょっと納得しました。

 ただ、ジャズメンがアドリブでソロのメロディを紡ぎ出すように
村上さんがストーリーを紡ぎ出していた、というのは小さくない
驚きでした。