- 作者: 桑田真澄,佐山和夫
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/10/17
- メディア: 新書
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この本が出たのは、大阪の高校のバスケ部の主将が、コーチの指導
に耐えかねて自ら命を絶った事件と、女子柔道オリンピック代表コー
チのセクハラといった、スポーツ界における指導者のスキャンダルが
続発したことを受けてだったと記憶しています。
この本では、そういうコーチの「指導」ということについて取り
上げられていますが、日本のスポーツの「暗部」だと思うのですが、
「指導」において「暴力」が暗然と認められてきたことについて厳し
く非難されています。
桑田さんも野球をやってきた中で、体罰と言う名の「暴力」の被害
にあってきたと言うことなのですが、特に学校スポーツ界では一定の
効果を認める声があるのに反して、「百害あって一利なし」というこ
とを強く主張されています。
これは、日本で軍隊的な考え方がスポーツに持ち込まれてしまった
影響が未だに残っていることと、歪んだ勝利至上主義の悪影響だと
指摘されています。
スポーツと言うのは、如何に自主的に工夫を凝らして、その結果と
して勝利を得るといった、過程を含めて「喜び」があるはずなのに、
結果だけを過度に重視することで、そういう歪んだ「目的至上主義」
に陥っているようです。
こういう部分にも、ちゃんとメスを入れていかないと、特に自律的
な判断が重視されるスポーツでは、本当の意味で強くなっていけない
んでしょうね。