高校生からの経済データ入門/吉本佳生

高校生からの経済データ入門 (ちくま新書)

高校生からの経済データ入門 (ちくま新書)

 ここのところ吉本さん再発見シリーズです。

 こちらも割と硬派な経済関連の本ですが、高校生数学の授業の
「データ分析」というパートの一環として依頼された講演がベー
スになっているようです。

 高校生向けだからといって、易しいわけではなく、その直前、
ほとんど同じ内容をトヨタ自動車調査部のアナリスト向けに講演
された時に絶賛を浴びたというだけあって、正直、多少経済学の
知識があると自負するワタクシにとっても難解なところが結構
ありました。

 にも関わらず、高校生の間で好評だったと言うのは、その視点
の斬新さ、と言うか、データを見るときに、表面的な数字だけを
見たのでは、その本質は伝わってこない、というか、その数字を
提示した人は、悪意でそういう数字を出していることも無きにし
も非ずで、その背景の考慮や、参考として比較すべき数字を考慮
した上で、そのデータの意味を考えることが必要だということで、
様々な分野での実例を紹介されています。

 正直、個々のトピックの細かい検証を読み解くのは骨が折れま
すが、各章末の例題をちょっと立ち止まって考えてみるだけでも、
データを見る意識が変わるんじゃないかと思います。