もしドラえもんの「ひみつ道具」が実現したら/藤野英人

 

もしドラえもんの「ひみつ道具」が実現したら

もしドラえもんの「ひみつ道具」が実現したら

 

 

 最近、『投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)』が話題を呼んでいる投資ファンドファンドマネージャーをされている方の著書です。

 趣旨としては、副題に『タケコプターで読み解く経済入門』とあるように、もし
ドラえもんの道具が実際に、今の世の中に出現したら、我々の経済的な生活にどん
インパクトがあるか?ということを大マジメに語った本です。

 こういう風に、ファンタジーを超リアルに語る、というのがワタクシ、大好きだ
ったりします。

 「経済入門」とありますが、話し自体のトッツキはいいのですが、実際の経済的
インパクトの考察なんかは、超応用編で、理論的に考えるととてもちょっと経済
学をカジッた位では出てくる発想じゃなくて、実務でいろんなビジネスを見られて
いるからこそ、だと思えます。(ただ、話を聞いている分にはメチャメチャ面白い
ですが…)

 まずはタケコプターがあったとしたら、なんですが、タクシーが大打撃を受ける
だろうとか、というのはなんとなくわかりますが、保険や警備保障にインパクトが
出てくるということで、「深い」です!

 その他、暗記パンとか、ほん訳こんにゃくとか、ドラえもんを見ていた人には
おなじみの道具が実現したらどうなる、ということをマジメに語ります。

 最後に、「どこでもドア」が紹介されているのですが、「どこでもドア」の出現
すると、場所の概念が無くなるということで、「場所」に依存したビジネスすべて
が影響を受けるということで、実は、インターネットが「どこでもドア」のある部
分の性格を持っている、ということをおっしゃっておられます。

 その道具の特質と、それがもたらす経済上のインパクトを、論理的に、しかも
逆説的ではありますが現実的に語る…「ひみつ道具」がそこにもうすぐ出てくる
んじゃないか、と思わせるような不思議で楽しい本でした。