なぜ、真冬のかき氷屋に行列ができるのか?/川上徹也、石附浩太郎

 

なぜ、真冬のかき氷屋に行列ができるのか?

なぜ、真冬のかき氷屋に行列ができるのか?

 

 

 川上さんが、“ストーリー・ブランディング”の成功例としてたびたび引き合いに
だされる、湘南のかき氷専門店「埜庵」の店主と、ガッツリ成功の秘訣について紹介
した本です。

 2013年に出版された本なのですが、その時点で開業から10年経って、「かき氷専門
店」としてのスタンスを確立された段階なのですが、そのスタンスが固まるまでの
葛藤に満ちた経過が描かれています。

 川上さんがおっしゃる“ストーリー・ブランディング”の中で、「志」の形成に
おける最良の「教材」だと考えられて、共著というカタチで出版されたと思うのです
が、他の川上さんの著書でも「志」形成の大変さを紹介されていますが、実際、ナマ
の葛藤を伺うとなまなかなことではないなあ…と思います。

 真冬でも行列ができるほどの店になって、世間的には「成功」ということになると
思うのですが、店主の石附さんは、少なくとも経済的には「成功」したとはいえない
し、他の要素で見てみても実感はないように伺えます。

 それどころか、行列ができるような店になったという「成功」が、その根幹たる
「志」の貫徹を危うくするようなことになっている…そういうジレンマもでてくる
んだなあと…

 お二方がそれぞれにあとがきを書かれているのですが、川上さんが、お客さんと
の関係性の構築ということで、称賛されているのに対し、石附さんが葛藤をありあ
りと吐露されている、こういったコントラストが“ストーリー・ブランディング
の難しさなのかなあ、と感じました。