淡々黙々。/内田篤人、三村祐輔

 

淡々黙々。

淡々黙々。

 

 

 ブラジルW杯直前の2月から、W杯後に日本代表復帰を果たす
までの、内田選手の闘いの軌跡を、本人へのインタビューを交
えて追いかけます。

 内田選手というと、甘いマスクで、イマ風のイケメンで有名
なので、華やかなイメージを抱きがちですが、考え方は実は、
相当古風な日本人だったのか…と思わされます。

 なぜ2月から描かれているかと言うと、ブンデスリーガの試合
で、W杯を棒に振りかねない右膝に重傷を負ってしまったからで、
前回の南アW杯で日本代表に選ばれながら、1分もピッチに立つ
ことができなかった悔しさから、何とかしてブラジルW杯に間に
合うように淡々とストイックな闘いを続けていった姿が描かれま
す。

 そんな中で印象的だったのが、国立スポーツ科学センター
(JISS)でのリハビリの姿です。

 そこでは、様々な競技のアスリートがリハビリに励んでいる
わけですが、サッカーの日本代表で、誰もが名前を知っている
内田選手が、バドミントンの選手のシャトル拾いをしたりとか、
フツーの人と人との交流をして、逆説的ですが、リハビリ施設
を出たくない、とお互いに思うまでの関係になった、というこ
とです。

 それだけではなく、ブラジルW杯の内田選手の奮闘はリハビ
リのために努力をしてくれた全ての人への感謝の表れであった
ということが、華やかな日本代表選手とは似つかわしくない、
“義理人情”を感じさせます。

 写真が多いので、内田選手のファンである長女へ、写真集代
わりに買った本なのですが、ちょっとカンドーしてしまいました。