ザ・ゴール/エリヤフ・ゴールドラット

 

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

 

 

 15年位前に一世を風靡した、生産管理における制約理論を小説
仕立てて紹介した、“世界一売れたビジネス書”です。

 何で今頃こんな本を紹介するかというと、最近、マンガ版が
出版されて、さすがにマンガの方を紹介するのも憚られたのでと
いうことと、最近、会社で、TOCに関するセミナーを受けて、やっ
ぱりスゴい考え方だな、と言うことで、改めて原書を読み直して
みたから、ということです。

 生産管理と言うと、この本の内容が世間で膾炙されたであろう、
現在においても、効率向上ということが尺度として取り上げられる
ことが多くて、一生懸命効率を上げた結果、在庫の山ができたと
か、手待ちが多くなったとか、業績の向上とは真逆の結果がもたら
されたということが多いようです。

 TOC理論では、“スループット”“在庫”“業務費用”と言う
3つの指標を持って成果を評価するということなのですが、これら
を指標にすることによって、全体最適を志向することになるから、
ひいては、企業活動の“ザ・ゴール”である、お金を稼ぐことに
つながる、ということです。

 ただ、この方法論があんまり日本で定着しなかったのは、常に
移ろう“ボトルネック”を特定して、対策を取り続ける“継続的
改善”のためのリサーチが難しいということと、セクショナリズム
的な分業と全体最適の成果配分の相性が良くなかったからなんじゃ
ないか、と思っています。

 この本の原書が出版された当時、全盛を誇っていた日本経済を
警戒して、著者は長きに渡り日本語版の出版を許可しなかったと
いうエピソードがありますが、ゴールドラット博士は日本人を買
いかぶっていましたかね…