社会の抜け道/古市憲寿、國分功一郎

 

社会の抜け道

社会の抜け道

 

 

 若き社会学者の古市さんと哲学者の國分さんの対談を集めた
本です。

 テーマは、タイトル通り“社会の抜け道”なんだそうですが、
この間紹介した加藤さんとの対談と同じく、タイトルはあるよ
うで、無いようで、読んでいくと、なんとなくフワッとした、
言葉で表しにくい概念ができているような、できていないよう
な…こういうカタチで紹介するのが非常に難しい本です。

 以前の日本は、相当画一的な社会だったと思うのですが、
最近は、表面上、ある程度多様性を許容しているように見えな
がらも、決して少数が主流になることはないという二律背反の
様相を呈しているようであり、この本でもそういう状況が語ら
れています。

 特に印象的だったのが、最近ワタクシも好んで取り上げてい
る消費行動の変化についてなのですが、古市さんの『遠足型
消費の時代』にもありましたし、最近のマイブームである川上
徹也さんの「ストーリーブランディング」など、消費そのもの
を体験として楽しむという姿勢について、対談相手である國分
さんは否定的に見られているというところです。

 確かにその時その体験にお金を払うに値するものであるかも
知れないけど、後でその消費を振り返って、なんとなくナットク
できないものが生まれる…マーケティングの用語では“認知的
不協和”といいますが…傾向があるということです。

 一旦楽しんだんやから、それでいいやん!と思うのですが、
そういうところも含めて顧客満足を追求するところに、マーケ
ティングの新たな可能性があるのかもしれません。