マーケット感覚を身につけよう/ちきりん

 

マーケット感覚を身につけよう

マーケット感覚を身につけよう

 

 

 サブタイトルが『「これから何が売れるのか?」わかる人に
なる5つの方法』とありますが、ただ単に「何が売れるのか?」
だけだと自分には関係ない、と思われる人が多くなってしまう
と思うのですが、「何が、誰に(どこで)売れるのか?」と言う、
ちきりんさんのおっしゃる“マーケット感覚”を身につけておけ
ば、自分が持っている引き出しの中から、ターゲットを見つけて、
売りどころを見出すことが、ある程度のキャリアのある人だった
ら、誰でもできるはずだ、とおっしゃいます。

 ただ、その感覚をつけるのは簡単ではないのは確かなのですが、
ちきりんさんがスゴいと思うのは、そういう人を説得するのが
この本の主題なんですが、フッと出される事例が、あざとさもな
くスゴく自然なんですけど、強力な説得力を持っているというこ
とでしょうか…

 例えば、需要と供給の関係で価格が決まるというミクロ経済学
の根本の過程なんですが、個々の消費者の需要度の強弱によって
そういうところも変わってしまうことを考慮に入れていないこと
が、実情にあっていないという例をだされているのですが、至極
全うだなと思わされます。

 ひとつだけ、ちきりんさんのおっしゃる“マーケット感覚”を
身につける上で、ワタクシが一番重要なんじゃないかと思ったこ
とを紹介しておきますと、“インセンティブシステムを理解する”
ということなんじゃないかな、と思います。

 これだけじゃ、ちょっと分かりにくいかも知れないんですが、
単純に需要する側が、“安けりゃいい”ということに象徴される
ように、お金で動くわけではなくて、それぞれにもっと深いとこ
ろで、ターゲットとなる人を突き動かす動機というものがあるん
だということで、そういうことを察知することが、“マーケット
感覚”の要素の一つであるようです。

 とにかく、今まで1500冊以上の本を紹介してまいりましたが、
その中でも5指、いやひょっとしたら3指に入る程のインパクトの
ある本です…何らかのビジネスに関わっている人にはすべからく
手にとって熟読玩味していただきたい本です。