日本経済の奇妙な常識/吉本佳生

 

日本経済の奇妙な常識 (講談社現代新書)

日本経済の奇妙な常識 (講談社現代新書)

 

 

 『スタバではグランデを買え!―価格と生活の経済学 (ちくま文庫)

などの経済をわかりやすく解きほぐす著作で知られる吉本さ

んですがこのブログでも何冊か紹介している通り、硬派な経

済評論で鋭さを見せることもあって、この本もそういった流

れの1冊です。

 この本は、暗黒の民主党政権時代に出された本なのですが、
当時は、円高が諸悪の根源のように扱われていたのですが、
真逆の評論が展開されていた時期もあって、あまり経済の理
論に基づいたとは思えない奇妙な論説が広がることがあるよ
うです。

 そんな中で、この本で吉本さんが展開されているお話しの
中に、今やっている消費税の段階的な引き上げが、景気の回
復にとって最大の敵となる、ということです。

 というのも、そういう小幅なコスト増を、多くの中小企業
は販売価格に転嫁することができずに、人件費の削減で対応
する可能性が高いからだということです。

 翻って、大企業はやたらと内部留保を増やして、少々業績
が回復しようが、投資におカネを回していないということで、
そういったことが格差の拡大につながっているということで
す。

 昨今、株価は上がっているようですが、そういった健康的
な循環につながっているんでしょうか?