グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ/デイヴィッド・ミーアマン・スコット+ブライアン・ハリガン

 

グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

 

 

 この本も、さとなおさんが『明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法 (講談社現代新書)

の中で、ファンベースの形成がマーケティングに果たす役割の
重要性を語られていた中に、格好の参考図書として挙げられ
ていました。

 ワタクシも結構70年代のロックは聴き込んだので、モチロ
ン、グレイトフル・デッドの名前は知っているのですが、恥
ずかしながら、ウッドストックでのライブ以外で彼らの音を
聴いたことがなくて、大したヒット曲もないのに、永年続い
ていることが不思議だったのですが、しかも、どっちかと言
うと泥臭いイメージのある彼らにマーケティング???と言
うことで、早速、興味津々で手にとって見ました。

 マーケティングのプロであり、かつ“デッド・ヘッズ”
グレイトフル・デッドのファンのことを、こう呼びます)
でもあるお二人によると、インターネット、特にSNSが
普及したからこそ可能になったといわれるマーケティング
の手法を、グレイトフル・デッドが何十年も前から、そうい
ツールなしにやっていた、と言うことなのです。

 グレイトフル・デッドの主要な収入源というのは、ライブ
に来てもらうことなんですが、驚くことに彼らは、ライブを
観客に自由に録音させて、そのテープを無料で流通させるこ
とを積極的に認めているのです。

 また、最近ネットでライブのチケットを販売するように
なって、ホントにそのアーティストの熱心なファンでもチケ
ットを取りにくくなってしまっているんですが、デッドは、
チケットを直販して、熱心なファンに優先的にいい席のチケ
ットが渡るような仕組みを導入しているということです。

 そうすることで、濃厚なファンのコミュニティを形成して、
よりライブへの頻繁な来場を促すことで、細く長く続けて
来たんだなあ、と感心させられます。

 また、それ以外にも、ウマイっ!!って思わせる儲けの
小技が満載で、270ページ余りの本ですが、あっという間に
読了してしまいました。

 最近、CDが売れなくてミュージシャンがやってられない、
という声をよく聞きますが、そういうアーティストの皆さん
に、この本を読んでもらって、そもそもこういう努力をして
いますか?と問いただしてみたいものです。