グローバル経済に殺される韓国 打ち勝つ日本/三橋貴明

 

グローバル経済に殺される韓国 打ち勝つ日本

グローバル経済に殺される韓国 打ち勝つ日本

 

 

 タイトルからの印象だと、アベノミクスが軌道に乗って、
円安誘導によりウォン高で韓国の経済が躓いた後に出され
た本なのかな、と思ったのですが、むしろ、日本が円高・
株安・デフレの三重苦にあえぐなかで出された本のようで
す。

 しかし、それでも当時好調だった韓国経済を見習うな、
ということで、著者は「嫌韓」の論客なのかな、と思った
のですが、確かに韓国の経済政策を非難しているものの、
それ以外のところについては、あまり言及されていないよ
うなので、凝り固まった「嫌韓」の物言いが苦手なワタク
シは、怖々手に取ってみた次第です。

 あ、意外かもしれませんが、この本も『妻社長』の参考
図書なんですよ!

 日本経済がどん底にあったから、なおのこと語気を強め
ておられるのかもしれませんが、おっしゃっていることに
は、ナットクできるところが多いのですが、「嫌韓」の論
客もそこのけの迫力です。

 韓国は、主な業種において、国家が2社程度の寡占を促
すような政策を取っていて、寡占企業がグローバル市場に
おいて競争力を発揮することを意図していて、この時期は、
それなりの成果を上げていたのですが、この時ですら、サ
ムスンや現代といったグローバル企業だけがその成果を享
受して、それが韓国の市民の豊かさにはつながらない、と
いうジレンマがあったようです。

 韓国企業のマーケティングの巧みさとか、そういった
長所もあるかと思うのですが、そういった部分には、敢え
て言及されていないのか、それは分からないのですが、
そういった傾斜的な政策の下、国際的に見て、さしたる
コアコンピタンスを持たないまま、グローバル市場で突っ
走ってしまっても、あんまり繁栄は長く続かないよ、みた
いな指摘をされているのですが、ウォン安という後ろ盾を
失った現在の韓国のグローバル企業の姿が、その正しさを
示しています。