橘さんがデビュー作である『マネーロンダリング』
を思わせる、国際金融のダークサイドを舞台にした
小説です。
ただ、橘さんが得意とする、得体の知れない感覚は
抑えめになっていて、マネーロンダリングなどの国際
「裏」金融が重要なファクターとはなっていますが、
他の作品と比べると、淡々と話が進んでいくような感
覚があります。
とは言うものの、次々に現れる登場人物が、ストー
リーを複雑に織りなしていき、グイグイと読者を引き
込む展開は相変わらずで、400ページを超える大著であ
るにも関らず、あっという間に読まされます。
小説なんで、あんまりネタバレになるのも、何なん
で、これくらいにしときますが、小説としても極上の
エンターテイメントを提供しますし、冒頭に「自己責
任で」とは書かれているものの、資産隠しの参考書と
しても使えるかも知れませんよ!(笑)