里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)
- 作者: 藻谷浩介,NHK広島取材班
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2013/07/10
- メディア: 新書
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『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)』
で脚光を浴びた藻谷さんの2作目です。
今回は、NHKの企画と連動した著作のようです。
タイトルに「里山」資本主義とありますが、この概念
は、従来の大量生産大量消費による経済拡大主義である
「マネー」資本主義への対立概念として掲げておられる
ようで、昨今、世界的に行き詰まりを見せている「マネ
ー」資本主義の行き過ぎを、「里山」資本主義によって
緩和できるのではないか、ということをおっしゃってい
ます。
確かに、人口の爆発的な拡大を、「里山」が支えきれ
なくなった側面はあったのですが、その結果放置された
「里山」が逆に、宝の山になっているんじゃないか、と
いうのもまた確かなようです。
「マネー」資本主義では、豊かになろうとシャカリキ
になっていくと、実はさらに出費が必要になって、永遠
のラットレースを強いられるんじゃないか、ということ
を冒頭でおっしゃっていますが、「里山」のお宝を活用
することで、そのスピードを落としても「豊かに」なれ
る方法があるんじゃないか、ということを示唆されてい
ます。
豊かさを経済的な指標で示すことの限界と、怪しさを
端的に指摘した重要な本ですので、是非とも一度手に取
ってみて欲しい本です。