やってみなはれ みとくんなはれ/山口瞳、開高健

やってみなはれみとくんなはれ (新潮文庫)

やってみなはれみとくんなはれ (新潮文庫)

 サントリー宣伝部出身の作家二人によるサントリーの社史です。

 山口さんが戦前編、開高さんが戦後編を書かれています。

 「やってみなはれ」というのは、サントリーの創始者・鳥居信治郎氏の
口癖だそうで、鳥居氏の旺盛なチャレンジ精神を象徴するようなフレーズ
で、このフレーズで、跡継ぎの佐治敬三氏らをはじめとする社員を鼓舞し
て、それにたいして「みとくんなはれ」ということなんでしょうか…

 ニッカの創始者・竹鶴政孝をモデルにした、朝の連続テレビ小説「マッ
サン」が話題になっておりましたが、戦前から戦後にかけて、日本における
「洋酒」の分野を切り開いた「闘い」が描かれています。

 ベトコンのゲリラ戦よろしく、あらゆる手練手管を尽くして、商品の開発
や拡販を進める姿は、当時のたくましき日本人像を髣髴とさせて郷愁的な
感情すら抱かせますが、懐かしんでるだけではダメで、そういうのを見習っ
て、日本が元気になるようにしないとな、とちょっとだけ思いました。