「自分はこんなもんじゃない」の心理/榎本博明

 

 

 「自分探し」を続け漂流する若者たちの心理を、それを代弁したともいえる、Jポップの歌詞と共に分析する内容となっています。

 そういうのを礼賛とは言わないまでも、認めるモノなのかな、と思っていたのですが、認めるでもなく否定するでもなく、できる限りプレーンなスタンスを保とうとする意図を感じます。

 確かに。自分を押し殺して組織の成すがままに流されているオトナたちを目の当たりにして、ああはなりたくない、と思う気持ちは分からないではないのですが、会社に入って、ホンの上辺だけを見て、これは自分の求めているものではない、と言って次へ行ってしまう…さらに、そこでも求めるものではない…とまた、次へ行く…

 そういうのって、本気になって取り組んでダメだった時に、「こんなもんじゃない」ではない自分と向き合うのを恐れているだけなんじゃないか…と、そんな気がしました。