日本人として知っておきたい外交の授業/中西輝政

 

 

 国際政治、国際関係論を専門とする著者が松下政経塾において、「歴史観・国家観養成講座」と題して行われた講義を元にした本です。

 と言うことで、「外交」と題されて、国際関係論的なトピックは盛り込まれているんですが、基本的な論点は、もっと根源的な、外交を行う上での前提となる、自分たちの「成り立ち」を問いただす内容になっています。

 中西さんは、戦後の自虐史観の影響で、歴史観や国家観に関する意見を表明すること、それ自体をタブー視する空気が流れていた時期があったことを指摘されていて、そのことが、現在に至っても、日本人が自分たちのアイデンティティを形成するにおける障害となっている、とおっしゃられています。

 そうなると、じゃあ、日本がどういう方向へ向かおうか、と言うことを考える基準が無いことになり、そういう部分が、日本の態度の曖昧さにつながっているんだなぁ…と妙にナットクしました。

 と言うことで、原点に立ち返って、自分たちの「成り立ち」を見直す、それこそがグローバルな場で活動するためにも必要なのかもしれません。