新・野球を学問する/桑田真澄、平田竹男

 

新・野球を学問する (新潮文庫)

新・野球を学問する (新潮文庫)

 

 

 元ジャイアンツの桑田投手が引退した後、早稲田大学の大学院で学ばれた時の恩師であり、かつて日本サッカー協会で、マッチメイク等に辣腕を振るわれた竹田さんの対談本です。

 桑田さんは、竹田さんの下で、スポーツビジネスに関する講座を取られたということですが、それが桑田さんがそれまで考えてきた野球界の悪弊に関して、改めて深く見直すこととなり、その姿勢に感銘を受けた竹田さんが、桑田さんの取組を世に残さねば、ということで出版に至ったようです。

 野球界における指導と言うのが、日本のスポーツにありがちなのですが、軍国主義的な影響を未だに引きずっていて、「心身の鍛錬」ということで、体罰すらも肯定されてしまうのですが、海外のスポーツ事情に明るい平田さんから学につけ、野球を始めとするスポーツへの取組にも色んな側面があってしかるべきではないか、ということで研究に取組まれます。

 桑田さんと言うと、ご自身の投球術への思考に関する深い思索で知られましたが、引退後にこういうスポーツの取組に関する思索に取組まれているということは、日本のスポーツ界に取って意義があることなんじゃないかと思わされる本です。