日本の戦争力/小川和久

 

日本の「戦争力」

日本の「戦争力」

 

 

 戦争や大規模なテロなんかが起こると、テレビにコメンテーターとして登場する軍事アナリストの小川さんの本です。

 これも藤原和博さんの『本を読む人だけが手にするもの』の推薦図書なんですが、出口治朗さんがおっしゃる「自虐史観」が骨の髄まで浸みわたっているからか、戦争について語ることすらタブー視する向きもあるのですが、この本を読むと、そういう日本人の姿勢が如何に自分たち自身を危険に曝しているかということを痛感させられます。

 この本は、2005年の小泉政権時に書かれた本なので、状況は大きく変わっているものの、本質的な部分、特に日本政府を始めとする日本人の戦争に対するスタンスと言うのはあまり変わっていないように思われるので、未だに有効な内容だと言えます。

 モチロン、専門的な地政学的な状況や軍備について精通している必要は無いのかもしれませんが、ある程度状況を正確に知ることで、必要以上に恐れを抱いたり、ミョーに強気になったりすることがなくなるはずですよね。

 為政者も、プレーンな視点での軍事的なバランスというものを、ちゃんと国民に示した上で、戦略的なスタンスと言うのを提示しないから、安保法案や嘉手納基地の移転において、無用な疑念を国民を抱かせることになるんじゃないかな、と感じます。