敗戦真相記/永野護

 

敗戦真相記

敗戦真相記

 

 

 この本も藤原和博さんの『本を読む人だけが手にするもの』の推薦図書で、先の戦争を正しく理解する、という括りのうちの1冊です。

 この本の著者は、後に運輸大臣を務めることになる方で、敗戦直後の1945年9月に広島で行った演説をまとめられたものだということで、まだ戦後の体制が不明確なこの時期に、こんなあからさまで、かつ核心を突いた演説をされたことに驚きます。

 まあ、あの戦争のバカバカしさということについて、以前取り上げた本でも紹介しましたが、軍部が、末期症状を呈している国に勝った(日清、日露戦争)とか、メインの戦争の遥か彼方で、火事場泥棒的に勝った(第一次世界大戦)ことで勘違いし、自己肥大を際限なく広げたことで、冷静な状況分析という、戦争で最も基本的な要素をかなぐり捨てて、ただただ盲信的に突き進んでしまった、ということなんでしょうか…

 サブタイトルに「予告されていた平成日本の没落」とあるんですが、今はそんな無謀さはないだろう…と思われるんでしょうけど、グランドデザイン無き国家運営という部分は、当時と何ら変わりはないんですよね…