若者のための政治マニュアル/山口二郎

 

若者のための政治マニュアル (講談社現代新書)

若者のための政治マニュアル (講談社現代新書)

 

 

 ジャストこの本ではないのですが、「知の怪人」佐藤優さんが、山口さんのの著書をよく推薦されているので、手に取って見ました。

 で、このタイトルだと政治の基本的なメカニズムの紹介といった印象を受けるのですが、そもそも政治の役割は何なんだ、といった根源的なところから説かれているので、オジさんにも読み応えがあります。

 我々のようなオジさんでも、そもそも「政治の役割とは?」と聞かれると、すぐには明確な答えが出せる人は多くないと思うのですが、山口さんによると、まず一番基本的な役割としては「国民の命を守ること」と極めて明確です。

 そういうことから、この本が書かれた2008年当時、紛争地域に出かけて行って生命の危機にさらされた日本人を救助することについて、政治家からも「自己責任論」ということで否定的な意見が出ていたことについて、「政治家の風上にも置けない」と怒りを露わにされています。

 そういう基本的な「役割」を忘れた人が多い上に、自分の利益ばかりに関心を向ける政治家も多く、ちゃんと自分から意思表示をするクセをつけておかないと、どんどんと政治があるべき方向から離れて行ってしまう、ということで、そういう「意思表示」の動機付け、と言える本かもしれません。