負け犬の遠吠え/酒井順子

 

負け犬の遠吠え (講談社文庫)

負け犬の遠吠え (講談社文庫)

 

 

 米原万里さんの『打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)』の中で取り上げられていたので、気になって手に取ってみました。ここのところ、結婚がらみの本を続けて読んでいたので、流れ的にもちょうどいいかな、というのもあって…

 この本も出版されたのが13年前ということで、もうそんなに経ったか…と言う感じなんですが、出版された当初は、結婚していない30代の女性を「負け犬」としたことで、随分議論を呼んだ覚えがありますが…

 結婚する、しないで「勝ち」「負け」を分けるのは、出版当時も異論が多かったと記憶しているのですが、読んでみても、個人的にはやっぱり異論がありますし、酒井さん自身が「負け犬」だということで、自嘲的に、敢えて言っている部分もあるかな、ということで、ちょっと割り引いて考えた方がいいのかな、という気もします。

 ただ、ここのところ白河さんの一連の著作を読んでいて、この本を手に取ったということで、結婚に縛られる考え方って、10数年前のこの本から最近に至るまで、変わっているようで変わっていないんだなあ、とも感じました。

 「負け犬」といいつつも、わき目も振らず結婚に向かってしまった「勝ち犬」よりも、楽しそうに見えますし、人生経験としても充実しているような気すらするので、結婚・出産が「女の幸せ」という価値観って、そこまで普遍的なモノではないんじゃないか、と思うんですけどねぇ…

 それよりも、そういう「人生の充実感」と「女の幸せ」が対立概念になって、両立しにくい現在の日本の状況って、やっぱりどこかオカシいんじゃないかな、と感じざるをえません。