地震と独身/酒井順子

 

地震と独身 (新潮文庫)

地震と独身 (新潮文庫)

 

 

 「負け犬」酒井さんが、東日本大震災の際の「独身」の方々を追います。

 そういうと、震災後に長い独身生活にピリオドを打った「震災婚」のことを思い浮かべる方も多いとは思いますが、それはこの本の最期の方に、ひっそりと取り上げられているにすぎなくて、どっちかと言うと「独身」の方々が震災の際に、どのように感じて、どのような行動を取ったか、ということをメインに取り上げられています。

 「独身」と言っても、置かれた立場は様々で、被災された方々であったり、ボランティアとして復興の支援に携わった方々であったりするわけですが、その「身軽さ」ゆえに重宝されることが多かったようです。

 被災された方であっても、震災直後には、仕事に従事されている方でも、家族持ちの方々は、家族の消息を確認するために持ち場を離れる方々が多かったということですが、独身の人は、仕事を続けるような「無言の圧力」を受けた方々が多かったようです。

 ボランティアの方でも、家族が居ればそうカンタンに長い期間家を空ける訳には行かなかったと思いますが、独身の人は身軽に腰を据えた支援に取組まれた方が多く、重要な役割を果たされたようです。