知的生活の方法/渡部昇一

 

知的生活の方法 (講談社現代新書)

知的生活の方法 (講談社現代新書)

 

 

 「碩学」渡部先生が「インテリジェンス」の身につけ方を語ります。

 1976年に出版された本なんで、細かい手法については時代を感じさせるものもありますが、概ね今なお有効なことが多く、古い本で読みにくいかな、と思って読み始めたたものの、あまりにも興味深くて、一気に読み終えてしまいました。

 主に読書を通じた「インテリジェンス」の身につけ方を語られますが、冒頭で、その大前提として「知ったかぶりをしない」ということを強調されています。

 ついついミョーなプライドが働いて、知ったフリをしたくなることがありますが、最初は丹念に本が紹介する世界を熟読玩味して、多くの本の世界を取り入れていくことで、そのうちに自分なりの「インテリジェンス」のベースのようなものが形成されてきて、そうなると自分なりの取捨選択ができるようになる、ということです。

 そういう「知的生活」を行うにあたっての環境整備といったことも、詳しく説明されていて、如何に蔵書を保管する場所を確保するかとか、夏季の快適な「知的生活」のために、当時だと高価ではあったものの、クーラーを導入することの効用を力説されていたりするところには、ちょっと時代を感じます。

 本田さんが近作の『読書で自分を高める (だいわ文庫)』で推薦図書として挙げられていることでもわかるように、未だに古典として現代でも通用する部分が多いので、特に若い人に読んでもらいたい本です。