ヤンキーの虎/藤野英人

 

ヤンキーの虎

ヤンキーの虎

 

 

 「草食投資隊」の藤野さんが、地方経済の復活を担う「ヤンキーの虎」について、投資家としての視点から語られます。

 「ヤンキーの虎」と言うのは、藤野さんが、このブログでも以前紹介した、『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書)』を読まれたのをきっかけに、地方出張の際に地域経済の状況をウォッチしていると、おおよそシナジーの働きそうにないくらい関連性の低い分野にも貪欲に事業を多角化していく若手の事業家が目に付くようになってきたということです。

 そういった若手の事業家は、地縁や人とのつながりを重視する「マイルドヤンキー」とつながるところがあり、元ヤンならではのバイタリティで、儲かるならばと、貪欲に事業を拡げて行っているということで、沈みがちな地方経済において、有力な復権の担い手となっているようです。

 「失われた20年」の影響で、大企業が「選択と集中」をすることで、地方から撤退した事業に参画したとか、金融当局が銀行に対して積極的に貸出を進めるように指導したことだとかといった追い風はあったにせよ、人を大切にするヤンキーの虎たちを、藤野さんは今後の日本経済における復活の大きな要因の一つだと考えておられるようで、未だ旧態依然の経営体質から抜けきらない大企業のハバを利かせる状況に風穴を開けるような存在になる可能性を感じさせる内容でした。