ペイ・フォワード/キャサリン・ライアン・ハイド

 

ペイ・フォワード (角川文庫)

ペイ・フォワード (角川文庫)

 

 

 この本は映画化もされているのですが、本田健さんが再三著書や講演の中で推奨されていて、そのうち…と思っていたのですが、ようやく本を手に取ってみました。

 この本は物語なのですが、隻眼でコワモテの先生をなぜか気に入った主人公のトレヴァーが、その先生の出した「世の中を変える方法を考える」という課題を出された時に考えたのが、“Pay It Forward”という運動で、自分が「親切」にされたら、それを別の3人の人に「親切」にすることで返す、というものです。

 主人公は、ロクデナシの父親にひっかかったシングルマザーに育てられていて、周囲の環境も「善意」の希薄な地域で、彼が親切をしても裏切られることが続いていたのですが、粘り強く取り組むことで、少しずつ、それが広がっていくことで物語が展開します。

 是非にみなさんにも手に取って欲しいということもあって、ネタバレっぽいことを書くには避けますが、こういう格言的ことをテーマにした本にありがちな、ミョーに説教臭かったり、不自然にハッピーな感じではなくて、苦難の中で「善意」を粘り強く広めようとしたことで、なおのこと「善意」を広げることの意義が深く感じられる気がします。

 絶望的な状況の中でも、少しの善意が世の中を変えるかもしれない…そういうことを信じたい気にさせられる本です。