そして日本経済が世界の希望になる/ポール・クルーグマン

 

 

 2008年にノーベル経済学賞を受賞した経済学界の重鎮であり、最近はアベノミクスの理論的背景としても知られるクルーグマン博士の、アベノミクス創成期における“エール”です。

 元々、クルーグマン博士は、2000年代初頭から、脱デフレのためのインフレターゲットを中心とした施策を日本政府に提言されていたのですが、それに沿った政策であるアベノミクスがようやく発動されたことを歓迎し、盛んにエールを送られていることでも知られるます。

 この本もそういったことの一環であり、概ね好意的な意見を表明されていますが、いかにそれを続けていって「流動性の罠」を抜け出すか、ということについては、インフレターゲットを「どんなことをしてでも死守する」という断固たる姿勢を見せ続けることが重要だと強調されています。

 この本の出版から3年余り、当初は円安や株高などのちょっとした成果らしきものが見えたものの、今となってはそれも、すっかり影を潜めて、安倍首相は「成果」を強調するものの、政府与党以外は誰も(実は、政府与党すらも?)信じていない状況になっています。

 きっとそれは、クルーグマン博士がおっしゃるように、誰もが疑いを抱くことなく信じぬけるように、インフレターゲット達成に向けた政策をやり抜けなかったことなんでしょうね…

 だいぶ、尻すぼみになってしまいましたが、何とか「強気の政策」を完遂してもらいたいものですが…