日本のいちばん長い日/半藤一利

 

決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)

決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)

 

 

 1945年8月15日正午に“玉音放送”で昭和天皇が国民に向けてポツダム宣言受諾を知らせる放送をするまでの24時間を追ったドキュメンタリーです。

 そう書くと、ただ淡々とした内容を想像されるかも知れませんが、その一日のありようが少しでも異なっていれば、我々は現在分裂国家で、日本語を話していなかったかも知れない…というくらいのインパクトのある危機を超えての“玉音放送”だったということをこの本は語ります。

 というのも、8月9日の御前会議において、昭和天皇自らの意志でポツダム宣言受諾を決定したものの、それは“極秘”で、軍部特に陸軍では受諾阻止・戦争継続に向けた不穏な動きがあり、玉音放送の可能性を察知した近衛師団の若手将校が師団長を殺害し、皇居の占拠、玉音放送の音源を差し押さえて、戦争継続の呼びかけの放送をしようというクーデターが、あと少しで成立しそうだった、ということです。

 そういった緊張に満ちた危機を超えて、今日の日本の繁栄があったんだ、ということをすべての日本人は覚えておくべきなんじゃないかと、強く感じさせる本でした。