世界史としての日本史/半藤一利×出口治明

 

 

 『昭和史』の半藤さんと、世界史関連の著作を多くモノにされている出口さんが語る、「世界史の中の日本史」です。

 とは言いながら、どうしても第2次世界大戦辺りへの言及が多いです…(笑)

 出口さんが『仕事に効く 教養としての「世界史」』の中で日本史での出来事の世界史の中での意味みたいなものに言及されているのを見て“目からウロコ”だったのですが、それがこの本のメインテーマになっています。

 押しなべて日本人は、自分の希望的観測や逆に悲観的な観測といった主観的なモノを交えずに、「リアリズムに徹して世界を見る」という能力が著しくかけていることを指摘されていて、史上唯一それを持っていたのが、明治維新期の岩倉使節団として海外の視察を行ったメンバーだとおっしゃいます。

 逆に、最悪な例として挙げられているのが、戦前、国際連合を離脱して、世界的な孤立へと導いた、外相・松岡洋右のスタンドプレーだということです。

 当時はソ連との連携に関する希望的な観測や、アメリカの国力を敢えて見ないようにするとか、あとから見るとあり得ないくらいの「偏見」を以って国家の判断をしていることが、『昭和史』などでも取り上げられていますが、やはり指導層にある人の「プレーンな」世界観は、必須の素養だと思えるのですが、今に至るまでそれを持った日本の指導者というのは、多く見積もっても2,3人だということで、結構哀しくなる本だったりもしますが、非常にダイナミックな視点を持つチャンスでもある本なので、是非ご一読の程を!