ラーメンと愛国/速水健朗

 

ラーメンと愛国 (講談社現代新書)

ラーメンと愛国 (講談社現代新書)

 

 

 戦後の世相とラーメンの変遷を、それぞれ相互に及ぼした影響について語られます。

 着想としては非常に面白いと思いますし、世相がラーメンに、逆にラーメンが世相に及ぼした影響についての記述については、ホントに面白い部分があるのですが、ラーメンに関係ない世相の記述がやたらと長くて、前振りしてもそれはないやろ!?って感じで、ラーメンだけで1冊持たせるだけのネタがなかったんでしょうけど、雑誌ライターが単行本を書いた時の悪弊が顕著にでています。

 せっかくメインテーマの部分が興味深いだけに残念です。

 これで本についての言及を終えるのはもったいないので、ちょっと内容にも触れておきますと、最近のやたらと日本の文化を持ち上げる風潮と同調して、元々中華から出てきたラーメンの「和風化」が顕著となってきていて、ラーメン屋と言わず麵屋と言ってみたり、魚介を使ったスープが人気を集めていたり、店の構えも「和」を意識したものが多くなっているところなどは、なるほどなぁ…と感心しました。

 そういった比較文化論的な内容は、部分的にスルドいモノが多く見受けられました。

 それだけに…残念!