負けるぐらいなら、嫌われる/田中史朗

 

 

 2015年ラグビーW杯で、南アフリカを破る快挙を成し遂げた日本代表のキーパーソンの一人である、スクラムハーフ・田中選手の回顧録です。

 身長166cmの小さなカラダで、パッと見、朴訥な人柄に見えながら、闘志あふれるプレーでジャパンを引っ張った姿が思い起こされます。

 タイトルは、ジャパンの中でいち早くスーパーラグビーに参戦していた田中選手が、W杯前のジャパンの練習を見て、そのヌルさに激怒して、ジャパンの同僚に一喝したことから来ているようです。

 でも、田中選手自身、そういうおおよそ揉め事を好むタイプではなく、大学時代など、先輩後輩の区別をなくすべく心を砕いていたことなど、フランクな人柄で知られていることから、余程「勝ちたい」ということを突き詰めた故なんだと思われます。

 田中選手と言うとW杯後に、スーパーラグビー参戦時やW杯参戦前に奥様に「自分が死んだら、いい人を見つけてくれ」というエピソードが有名になりましたが、この本の最後に奥様を交えた対談があり、ほほえましいやり取りが見られるのも一興ですよ!