憲法という希望/木村草太

 

憲法という希望 (講談社現代新書)

憲法という希望 (講談社現代新書)

 

 

 前に手に取った、新進気鋭の憲法学者である木村さんの本が興味深かったので、最新刊を手に取ってみました。

 この本は憲法の主だった条文について解説を加えると共に、現在議論になっている憲法上の問題についての解釈を紹介します。

 まずオモシロいと思ったのが、憲法と言うのはその国のそれまでの歴史に対する「反省」を集めたものだ、ということです。

 顕著なのが日本国憲法第9条で、大日本帝国憲法下で軍国主義に突っ走ってしまった「反省」からできた条文だと言えるでしょう。

 ただ現在の日本においては、あまりにも一般国民に対する憲法への啓蒙が行われていなくて、国民のほとんどが、中学・高校での公民の授業でホンのサワりだけを教わって
いるにすぎないということで、日々の生活の中で憲法を意識することがあまりに無さ過ぎる状況で、国家が好きなようにできるように、敢えてそうしてるんじゃないだろうか、と勘ぐってしまいたくなります。

 例えば、沖縄の普天間から辺野古へのアメリカ軍基地の移設なんですが、基地では現地自治体の施政権が著しく制限されることから、木村さんの解釈では、憲法上、住民投票での同意を経た上での立法措置が必要だということなんですが、自民党政権では行政権の行使で押し通そうとしています。

 特に安倍政権では、安保法制の話もありましたが、行政権を拡大解釈する傾向が強く、そういった意味で、我々の権利を守るためにも憲法をよく知った上で、政府の動きを見張っておく必要がある、と強く思いました。