中国人エリートは日本をめざす/中島恵

 

 

 中国人にディープに切り込んだ取材で、日本では誤解されがちな中国人の実像に迫ることで定評のある中島さんによる、中国人の「爆留学」に関する本です。

 実はワタクシ、会社で目の前の席に座っているのが日本に留学して、そのまま日本企業に就職した中国人だったりするのですが…

 中国人の間では、日本の大学の中でも圧倒的に東大と早稲田が支持されているということなのですが、留学するんならアメリカの大学を志向するもんだと思っていましたし、日本に来る位だったら、世界の大学ランキングで日本よりも上位に位置する北京大学や精華大学なんかを志望するんだと思ってました。

 ただ、アメリカの大学は日本と比べて必要となる費用がかなり高額なのと、あまりに競争が激しいこと、本国からの距離が遠いということで、避ける人が少なくないようです。

 またモチロン北京大学を志望する人も多くて、以前はそういう上位層からアブれた人が、日本への留学を志望するといった感じだったようですが、近年では東大や早稲田を第一志望とする人が少なくないようです。

 それには中国でのあまりに激しい受験戦争と、受かったとしても相当学究上の自由度が限られること、また日本の生活環境やサブカルを中心とした文化を志向して、といった理由があるようです。

 また日本の大学としても、出生率の低下による志望者の減少、志望者の質の低下などから、特に理系の大学院では優秀な中国人の志望者がなければやっていけないという事情もあるようで、ある意味中国人留学生とWin-Winの関係にあるということです。

 こういった「追い風」にふんぞり返らず、日本の大学も優秀な学生を引き付ける要素を、今のうちから中国人留学生のフィードバックを踏まえて備えないといけませんね。