世界観/佐藤優

 

世界観 (小学館新書)

世界観 (小学館新書)

 

 

 2016年は、イギリスの国民投票でのEU離脱の判断、アメリカのトランプ氏の大統領選勝利など、その後に振り返ると大きな転換点となるようなことが発生しましたが、それを受けての今後の世界情勢の見通しを、「知の巨人」佐藤さんが語ります。

 ここ数十年の大きな流れから言うと、冷戦構造の崩壊以降、それまでの資本主義vs共産主義イデオロギー対立と言う2軸で考えればよかった世界情勢の複雑化が止まらないということで、日本人もアメリカに依存していればよかった状況が終わりつつあり、自律的な判断が求められるようになっているということです。

 この本では欧米、中東、東アジアの情勢と共に、日本が対処しなければいけなくなると思われる世界情勢について触れられていますが、これまでヨーロッパを舞台に繰り広げられてきたテロに、日本も巻き込まれる可能性がどんどん高くなってきていることを自覚すべきで、その対処が喫緊の課題であることを指摘されています。

 昨今、佐藤さんを始めとして、日本を代表する知識人たちが地政学の重要性を強調し始めていることからもわかるように、日本人がそういう概観をしっかりと認識することの重要性がかつてなく高まっているようです。