おとなの教養/池上彰

 

 

 かつて大学では、まず教養課程において基盤となる教養を身につけた上で専門課程に進んでいたのですが、ほとんどの大学で教養課程を無くしてしまって、一般教養科目ということでお茶を濁すことになって日本人の教養レベルが目に見えて落ちたと指摘する向きもあります。

 それでも未だ身に付けるべき教養があるんじゃないか、と言うことで池上さんが現代の日本におけるリベラルアーツとして、

  宗教、宇宙、人類の旅路、人間と病気
  経済学、歴史、日本と日本人

を挙げられていて、「私たちはどこから来て、どこへ行くのか?」という戦略を立てる上で、こういった「教養」が必要になると指摘されます。

 特に印象的だったのが歴史の部分で、歴史なんて学校で習って知っている…というワケには行かなくて、あくまでも我々が学校で習うのは「勝者」が自分の都合のいいように「洗脳」するための一つの手段だということで、我々が教養として身に付けるためには、背景の理解や様々な観点からの考察が重要なようです。

 「すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる」ということで、じっくりと腰を据えてこういうことを学ぶということが、これから先、より重要になるのかも知れません。