元々機械設計をされていて、その中で大事故を起こさないために日々の「失敗」を記録し続け、分析を重ねていった結果、「失敗学の開祖」ともいえる存在となった方の著書です。
畑村さんによると失敗に備えるに当たって最も重要なことは、どんなに精緻な対策をしたとしても失敗は起こるものなんだという意識を持つということです。
その認識を持った上で、日々の仕事を様々な観点で注視しつつ、できるだけ小さな芽のうちに大事故につながるような原因を摘み取るようにすることが重要なようです。
そういった取組は個人の努力でできるモノではなくて、組織的に取組む必要があり、突き詰めれば組織の中で、最終的にはトップがコミットしないと有効な手立ては立てられないということです。
失敗が起こった際でも、その失敗に寛容であることが重要だと指摘されていて、それが何故かというと、失敗するごとにいちいち責められる体質があると、どうしても失敗を隠蔽する誘引が働くということで、それを防ぐためにも失敗をオープンにしやすい状況を作ることが重要なようです。
人間の弱いところに根差すものがあるので、難しい部分は多いと思うのですが、こういう意識って、かなり仕事をする上で役に立ちそうです。