スタンドオフ黄金伝説/永田洋光

 

スタンドオフ黄金伝説 日本ラグビーを切り拓いた背番号10 (双葉新書)
 

 

 南アフリカを撃破するという快挙を成し遂げたラグビーW杯イングランド大会の約一年前に出版された本なのですが、ラグビーには珍しいスタンドオフという特定のポジションにフォーカスした本です。

 スタンドオフラグビーにおける“司令塔”とも言えるポジションでゲームの展開に大きな役割を果たすことが多いのですが、日本代表におけるスタンドオフの変遷を追った上で、イングランドW杯1年前の時点でスタンドオフの有力な候補であった3人の特徴について紹介されています。

 元々、スタンドオフというのはゲームをコントロールするという役割の特性上、ラックやモールと言う密集からは1歩距離を置いたところでプレイすることが多かったのですが、圧倒的に体格的に劣勢な中で戦わなければならないW杯において、プレイのスピードアップを狙う中で、スタンドオフが次第に密集に近いところでプレイに関わる傾向が強くなったことを指摘されています。

 南アフリカ戦では、スタンドオフの有力候補の中で比較的オーソドックスなプレイスタイルの小野が先発を担ったのですが、“異端”ぶりを研ぎ澄ませていくことが、日本が世界と戦って行く上での方向性なんじゃないかと、この本では指摘されています。