英語の害毒/永井忠孝

 

英語の害毒 (新潮新書)

英語の害毒 (新潮新書)

 

 

 エスキモー語が専門だという言語学者の人が書いたアンチ英語論です。

 この本では昨今のやたらと会話英語、それもアメリカ英語ばかりがやたらともてはやされることについて、そもそもこういうアメリカ英語の隆盛は、アメリカの遅配的地位を前提として成り立っているモノであり、中国が台頭してきている今、その有効性を懐疑的に見た方がいいんじゃないかということと、英語公用語論なんて植民地支配を受け入れるようなモノたという、一見極論的なことをおっしゃいます。

 されには会話中心の学習を押し進めることにより、英語も日本語も中途半端な“セミリンガル”状態の子供を量産することを危惧されており、実際に帰国子女がそういう状態に陥っていることを紹介されています。

 で、どういうことをこの人が推奨されているのかというと、選択制で複数の外国語を学ぶことなんですが、最後の10数ページでコンセプトだけをサラッと紹介されているだけなんで、そのことが言語習得においてどういうメリットがあるのかなど、アメリカ英語をディスるのにやたらと紙幅を割くより、そっちの方を詳しく知りたかった気がします…実は、その提唱に中身がないからこういう構成なんですかね?