君たちが知っておくべきこと/佐藤優

 

君たちが知っておくべきこと: 未来のエリートとの対話

君たちが知っておくべきこと: 未来のエリートとの対話

 

 

 「知の怪人」佐藤優さんが、将来のエリートたる灘高生の質問に答えるカタチの対話で構成された本です。

 冒頭で佐藤さんが日本のエリートに関して語られるのですが、驚いたのが未だに日本のエリートの育成については後進国家型のモデルを脱していないということです。

 どういうことかと言うと、後進国ではモデルとなる先進国に素早く習えるようにするために、記憶力の優れたもの達にそのモデルの要諦を詰め込んで再現させるということなのですが、出口さんが再三指摘されているように、そういうモデルを追うという姿勢が今の日本にとって、最早有益ではなくなっているにも関わらず、旧来型のエリートを創ろうとしていることが問題だと指摘されています。

 ということで、佐藤さんはインテリジェンス活動の経験から、エリートとして生きていくためには、常に自分の進む方向性を見据えた上で知性のメンテナンスを続けないといけないということです。

 特に文系・理系を分けたがる日本の教育においては、文系に取っての数学、理系に取っての歴史がアキレス腱となって、世界のエリートから取り残されることになってしまう現状を紹介されます。

 この対談を経験した彼らがキッカケで、たくましいエリートが育っていってくれることを願ってやみません。