「AV女優」の社会学/鈴木涼美

 

 

 著者が東大大学院の修士論文として書かれたモノをベースとした本です。

 これまで社会学に興味を持って、このブログでも何冊か社会学の本を紹介しているのですが、何か「科学」としての社会学にしっくりこないものを感じてるのですが、この本もそういう典型的なパターンにハマってしまっている気がします。

 実は後に、ご本人がAV女優として活動された経験をベースに書かれたということを明かされているのですが、そういうフィールドスタディを元に書かれているところと、概念として消化しようとしているところにつながりが感じにくいところが、社会学の“パターン”なのかな…と言う気がします。

 ただAV女優になるのは、スカウトされたからとか偶然に支配された部分が大きいのに対し、様々な葛藤を超えて、AV女優であり続けるためには自己定義のために饒舌になるというのは興味深いところがありました。
 
 できたら、修士論文を捨てて、ドキュメントとして書かれていたらもっと面白い本になったんじゃないかという気がするのですが…