ネット関連のトピックに強いジャーナリストとして知られる津田さんのごくごく初期の著書です。
語り口は今と比べて生硬な感じを受けるのですが、緻密な取材ぶりとスキのない論理展開が後年の活躍にもナットクな感じです。
この本が出版されたのが2004年で、CDが過去最高の売上を上げた1999年以降、徐々に音楽業界に影が差し始めた頃で、CCCD(コピーコントロールCD)やCDの輸入規制、音楽のネット配信の創成期、ファイル交換ソフトによる違法アップロードなど、当時音楽業界で問題となっていた事象を紹介されています。
一応、CCCDには明確に反対の立場を表明しつつも、殊更に揚げ足を取るようなスタンスではなく、現象面を積み上げて行かれます。
それにしても、音楽業界って結局如何に既得権益を守ろうということに汲々としているようにしか見えなくて、客となるリスナーのためといったことには全くと言っていいほど顧慮が無く、そういう姿勢が、結果として2017年時点の音楽業界の衰退を招いたんじゃないかな、と思います。
結局偶然のヒットを期待するしかなくて、環境の変化と言うモノに対して、どう対応していこうという気概の無い業界に明日は無いと、音楽愛好者として暗澹たるキモチになってしまいます。