キャスターという仕事/国谷裕子

 

キャスターという仕事 (岩波新書)

キャスターという仕事 (岩波新書)

 

 

 長らくNHKクローズアップ現代」のキャスターを勤められた国谷さんが番組での23年間を語ります。

 元々国谷さんは海外での生活が長く「自分は日本のことをよくわかっていないんではないだろうか?」ということがコンプレックスだったそうで、テレビの仕事に従事し始めたのも堪能な英語を活かしてアナウンスを兼任できる人材の募集に応募したということがキッカケだったということで「クローズアップ現代」が始まった当初もキャスターとしてのスタンスを模索されていたということです。

 そんな中“硬派”なスタッフに関わり、徐々に国谷さん自身も番組制作に深くコミットするようになり、次第に製作スタッフ全体が熱を帯びるようになって、23年間NHKの代表的な番組の“顔”を勤めることになったということのようです。

 「クローズアップ現代」の改変に伴い、国谷さんが降板された当時、政治的な圧力が働いたことが取り沙汰されましたが、直前に番組自体に不祥事があったこと、番組内で菅官房長官をかなりキビシク詰問して官邸の不興を買ったことなどがあって、有形無形の“圧力”があったのかもしれませんが、結局はNHK自体が彼らを持て余してしまったんだろうなぁ、ということが、最終回の投げやりな局のスタンスをみて感じた次第です。

 改編以降の「クローズアップ現代+」は見ておりませんが、返す返すも惜しいモノを無くしたなぁと…